メダロット2 第4巻 (講談社コミックスデラックス コミックボンボン)
今回はマンガ「メダロット2」の紹介です。
このマンガはタイトルのとおり「メダロット」の続編でありまして、前作での大事件 "魔の十日間" から12年後の世界が舞台です。アニメ化などもされて人気も一番あり、メダロットシリーズの中で単行本の冊数が一番多いです。
話数に余裕があるのか夏休みの田舎や遊園地、お金持ちの家で新年会など、近未来なのにノスタルジックな "ロボットのいる日常" が多く描かれています。前作から12年もたっているので主人公たちは一新されていますが、ヒカルやMr.うるち、メダロット博士、そしてロクショウなど前作の登場人物たちもでてきます。とくにロクショウは、前作を読んでいるとその行動の意味がなんとなく分かって複雑な気持ちになります。
この作品あたりから作者の特徴である『問題を提示し、あえて明確な答えを描かないことで読者に考えさせる』という手法がよくでてきます。「メダロット2」でラスボス的立場にいる人物は『機械に可能不可能の判断など無用。命令に忠実なことこそ優秀な機械のあかし』という考えの持ち主です。これまでメダロットを読んできた読者にとって、この考えは友だちロボットであるメダロットの主軸と反するということは明確であり、分かりやすい敵だといえるでしょう。
ここからはラストの展開などネタバレを含みます。
しかしその人物(ヘベレケ博士)の主張にはもっと深い部分がありました。かつてともに学んだ仲であるメダロット博士と対峙したヘベレケ博士は、メダロット博士にこう言います 「おまえはメダロットに人のような自我を持たせるべきだと本気で思っているのか? 機械に自我を持たせるなら、彼らが人間に背をむけるかもしれんのだぞ。友人(メダロットとルビ)と敵対することになったら、おまえはどうするアキハバラメダロット博士の本名)」と。そして最後、墜落する飛行船に残ったヘベレケ博士はつぶやきます「ただの機械でいるほうが幸せかもしれんぞ。違うかねアキハバラ
「私は・・・・」
イッキやメタビーと飛行船からなんとか脱出したメダロット博士は、浜辺でヘベレケ博士の言った言葉を思い出していました。『それは正しさの証明にならん イイモンの科学者の言葉だな おごりだよ 理想の世界が根本からくつがえされてしまうからな』
「博士ぇ」そんな博士にイッキとメタビーが話しかけます。イッキとメタビーの手は、人間とメダロットの手は、その絆を象徴するかのごとくしっかりと握られていました。
イッキ「何笑ってんですか」
メタビー「気持ち悪ィ」
深いです。
さらにヘベレケ博士のメダロット "ラスト" の存在も忘れてはいけません。ヘベレケ博士の考えのもと命令を忠実に遂行することを目的につくられた彼ですが、メタビーと戦うために博士に内緒で秘密基地の場所を教えたり、飛行船が浮き上がるとき、戻れという博士の命令を無視してメタビーと戦おうとしたり、博士の意図に反してだんだんと自我が芽生えていきます。そしてメタビーを倒し(たと思っただけ)、命令を果たして自由の身になったのにもかかわらず、墜落する飛行船に取り残された博士のもとに戻ります。「なぜもどった?」という博士の質問に「自分でもわかりません」と応えるラスト。自我を持つ。それがメダロットの当然のなりゆき。だからこそ問題なのだと博士は言います。そして墜落する飛行機のなかで前述の「違うかねアキハバラ」のセリフをつぶやくのです。
メダロット2の最後のあたりではもうボンボンを買っていませんでしたが、「海の大陸NOA」とか「王ドロボウJING」とかモトちんの「スーパーマリオ」シリーズとか、こういうけっして幼稚ではない作品がたくさん連載されていたかつてのボンボンは大好きでした。